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テレビ・デジタル化の真実

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                (銭ゲバ 第二回 オープニングより)

 立教大学の服部孝章(たかあき)教授が、このところ、テレビ画面の右上隅の「アナログ」常時表示↑に立腹していると新聞に書いていた。

 確かに、いつ始まったかは知らないが、あの表示は気になる。

 わたしが、ごく子供のころは、テレビがカラーに移行している時期で、テレビの隅に「カラー」と表示が出ることが多かった。

 時間の経過とともに、カラーの表示は、いつしか白黒放送時の時に表示される「白黒」にとって代わられていったが、今でもわたしの脳裏には、立体的に描かれた(というか、単に長方形の真ん中が内側にへこんだ)四角の枠の中、あまり上品とはいえないフォントで大きく書かれた「カラー」の文字がはっきりと残っている。

 「カラー」表示は、カラーテレビの普及とともに、自然に「白黒」へとバトンを渡し、消え去っていった。

 近頃では、モノクロ放送など皆無にひとしいので、古い映画作品などを放映するときは、番組の最初に「この作品は白黒作品です」と一時的に出るだけだ。

 そして、今、まったくの政府主導で、アナログからデジタルへと放送は無理やり移行しようとしている……

 と、ここまで書いて気づいた。

 以前の、モノクロからカラーへの移行期では、「カラー」表示は、番組の最初に表示されるだけだった。

 だが、今は、もう、嫌になるほど長く右隅に「アナログ」の文字が光り続けるのだ。(というか、番組の間中、表示され続けていることも多い)

 時に番組録画の邪魔になるほどに。

 それほどまでに一般市民を急かせ、あせらせたいのか?

 前回のカラー化の時は、明らかに視聴者にとってメリットがあった。

 今回は、デジタル化して、何が便利になるかもはっきりと示さずに、好感度をあげるためか、女性アナウンサーに統一の服を着せて、笑止なパフォーマンスで、ただアナログ波の停止時期だけを繰り返しアナウンスさせている。

 皆さんはお気づきか?

 民放では、コマーシャル放送時に、決して「アナログ」が表示されないことを。

 ここで、わたしはみなさんに、以前、別項で書いた事柄をもう一度いっておきたい。

 民放の放送が「本当に流したい」のは、コマーシャルなのだ、と。

 一見、社会を啓蒙(けいもう)することが目的のように見える旅行番組も、クイズ番組も、連続ドラマも、すべては、コマーシャルを見せるための撒き餌に過ぎない。

 ほら、釣りの時に、あらかじめ、ざっと餌を捲いて魚を集めてから糸を垂れるでしょう。

 あれですよ。

 だから、大事なコマーシャルに傷をつける「アナログ」なんて言葉をいれるはずがない。

 でも、2011年完全デジタル化って本当にやるつもりだろうか?

 現実的に、あまりにデジタルテレビの普及が遅いので、政府主導で、メーカーに対して5000円程度の受信機を作るように指導されたのは昨年だったか?

 だが、いまだに、そういった廉価(れんか)なチューナーは出てこない。

 その理由として、デジタル著作権を守るためと称し、チューナーにB-CASと呼ばれるカード↓を挿さねばならないことがあげられる。

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 カードは、暗号化されたデータを解読するのに必要だそうだが、その暗号を解くための回路を組み込まねばならないために、どうしても値段を安くできないのだ。

 B-CASについては、以前、友人がメールで情報を送ってくれたので、ちょっと古いが、ここに記載しておく。

 一度は廃止寸前だったのに↓

  http://ascii.jp/elem/000/000/177/177381/

 さすがお役人のお声掛かり、現在では不死鳥のようによみがえっているようです。

 B-CASの基本を、ウイッキでもおさえておきましょう(ぐっもーにんみすたトクミツゥ!)。 
  http://ja.wikipedia.org/wiki/B-CAS

 こちらは、ちょっと面白いルポ↓。
  http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080625_bcas/

 とにかく、デジタル化したとたん、ハード的に録画も満足にできなくなる(そもそも金をかけないと普通に視聴できなくなるのが問題なのだが)。

 録画できたとしても、コンテンツの画質を落としてDVD-Rに記録しようとすると、メディアが「著作権保護対応の値段の高い、しかもDVD-RW(さらに高い)」でなければできない。

 まったく「視聴者の使いで」ではなく、放送側の都合だけで行われるのが、今回のデジタル化だ。

 うわさどおり、未曾有の経済恐慌を受けて、アメリカでは、来る2月17日の完全デジタル化が延期された(って、やっぱりアメリカの真似だったのね)。

 全米では、今なおアナログ放送しか受信できない世帯が15%あるといわれている。

 日本はどうするのかなぁ。

 まあ、あの首相じゃ、決断なんか無理だろうし。

 ここに、面白いコメントがあるので、最後に載せておきます。

(2008年12月9日衆議院総務会での鳩山邦夫総務大臣の発言)

「(デジタル放送移行が2011年)7月24日ということは知りませんでした。アナログが完全に停波するということも知りませんでした。何か一部残るんじゃないかと思っておったわけですね」

 こりゃだめだわ。

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