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杖つき童子 ~ノルディック・ウォーキング~

世の中に、ノルディック・ウォーキングという運動があることを、今日、新聞で知りました。

 その記事から引用しつつ、わたしの考えを述べようと思います。



 「ノルディック・ウォーキング」とは、クロスカントリーのように、杖(ポール)をついて地面を歩く運動です。

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28日付毎日新聞夕刊より

 なぜ、平地でポールをついて歩くのか、というと、もともとは、身体にトラブルを抱える人々のための運動だからです。

 登山では、いまや、ポールの二本突きは常識ですね。

 以前、もう十年少し前になるでしょうか、まだ杖を一本しか使わなったころに、海外の記事でそれを知ったわたしは、特に体力的に必要もなかったのですが、さっそく、ポール二本で北アルプスに出かけたのです。

 すると、多くの老人(おもに男性)から、

「若いのに、二本も杖をついて大層なことだよ」

と、妙に非難めいた言葉をかけられ、釈然としなかったことを覚えています。

 山好きのかたはご存じのように、それから数年もしないうちに、老人のほぼ全員、若い人も、夏の表銀座などを歩くときにはポール二本突きが当然になりました。

 あの時、わたしに向かって皮肉をいった老人たちも、今はポールを二つ突いているはずです。

 彼らが、あのときの言葉を、いったいどう思っているのか知りたいところですが、おそらくは加齢による物忘れと、「いわれた方は覚えているが、いった方は覚えていない法則」のために、すっかり忘却していることでしょう。

 などと、自分が執念深く根に持つタイプであることを、さりげなく示しながら話を続けましょう。

 ノルディックウォーキングは、クロスカントリー選手の夏のトレーニングを参考に、簡単な歩行運運動にしたもので、フィンランドで発祥しました。

 ポールを使うことで、下半身だけでなく、全身の90%の筋肉を使うことになるそうです。

 エクササイズ効果が通常のウォーキングより高い一方、膝や脊髄への負担は少なくなります。

 日本ノルディック・ウォーキング連盟という組織も生まれ、指導員の登録数は2009年から急増し、いまや1500人に達するそうです。

 身長に合わせてポールの長さを加減し、身体に負担の少ない「ディフェンシブ・スタイル」で歩くと、椎間板ヘルニアなどの持病をもつ人でも比較的楽にあるくことができる。


 本ブログをお読みの方ならご存じなように、わたしは「(過度の)運動は身体に悪い」を標榜する人間です。

 先日も、ジョギングや(長時間の)筋トレは、副交感神経に緊張を強いるために、身体バランスを崩しがちになり、結局は寿命を短くしてしまう、ため、ウォーキングにすべきだ、という研究発表もなされました。

 簡単にいうと、ガンバラネバ、と無理に自分を奮い立たせて精神的緊張を続けると、心肺機能やカロリー消費の効果はともかく、交感神経と副交感神経の切り替えに問題が生じるために、結局命を短くしてしまう、というのですね。

 わたしは、もともと自転車派の人間ですので、以前は、毎日、坂道を十数キロ走ることを日課にしていました。

 しかし、数年前から、一日五~六キロ歩くことを日課にしています。

 自分の身体の動きとと呼吸を意識しながら歩くと、歩行という行為が、以下に奇跡的な連動運動であるかを実感します。


 また、適度に歩くと思考もまとまります。

 哲学者の小径で西田幾多郎が思索したように(というのは大層ですが)。

 ですから、身体に不調があるからといって、歩く、という行為から遠ざかるのはもったいないのです。

 その意味で、この「ノルディック・ウォーキング」、膝や腰や背中が痛くて、「歩行」をしなくなった人にも適していると思います。


 ※ディフェンシブ・スタイル
 手首をあまり動かさないように意識して、肘を腕から前に出すようにしてポールを地面に垂直に突き、それに合わせて手と反対の足を前に出す。
 姿勢を正して顎をひき、前方遠くをみるのがコツ。