戦場で死なないために、どうすれば良いと思いますか?
以前に、自分の作品で使うために、いろいろ集めたことがあります。
いわゆる、死亡フラグの立つ条件、というやつですね。
ほとんど冗談の域ですが、案外、現実的にもありそうだな、というのが並んでいます。
いくつか列挙しましょう。
・故郷の話をしない
・恋人の写真を仲間に見せない。
・将来の夢を語らない
・出撃前に恋人にプレゼントを渡さない
・手紙も渡さない
・指輪なんて論外、死にたいのか
・息子や恋人がくれたお守りを持たない
さらに――以下の言葉を決していわない。
・「やれやれ、助かったな」
・「大丈夫だ」
・「先に行ってくれ」
・「後から必ず行く」
・「すぐに戻る」
・「やったか!?」はNGワード。
そして、冗談みたいな上の条件以上に、本当に、現実的な死亡フラグ(と、よんでいいのか)が存在します。
かなり高確率の傾向で、
「いいやつほど先に逝く」
という法則があるのですね。
弁護士の護士の日隅一雄(ひずみ・かずお)氏が、去る12日に亡くなりなりました。
享年49歳。
遅ればせながら、彼への追悼を述べたいと思います。
日隅一雄、1963年生まれ。
京都大学法学部を卒業後、サンケイ新聞社を経て、弁護士に。
東京新聞より
わたしが彼を知ったのは、おそらく多くの方同様、昨年の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故の際に、連日、というか、ほぼ泊まり込みで会見に望み、2011年4月4日深夜には、(貧乏なため日隅氏が助けていたらしい)木野龍逸氏と共に、「放射能汚染水1万トンの海洋投棄の責任者は武藤(ムトゥ)栄副社長だ」という言質(げんち)を東電広報からとったシーンを、連日視聴していたニコニコ生放送で観てからです。
その時着ていたウインドブレーカーの色より、ニコニコ視聴者から、「オレンジ」の愛称で呼ばれた彼は、自身でもその呼び名を気に入っていた、と言われています。
以来、彼の出る番組をチェックし続けるうち、五月過ぎに、ある放送での、
「日隅さん、体調を崩されたそうで」
「なんか、力が入らないんだよね、と木野くんに言っていたら、トイレで真っ赤な血を流してしまったんです」
「大丈夫ですか?」
「しばらく会見には出られませんが、大丈夫です」
という会話から、彼が、かなり重い病気に罹(かか)ったことを知りました。
今になって、それが末期の胆嚢ガンであったことを知ったわけです。
一般的に、ガンは十年足らずの時間をかけて、徐々に大きくなっていきます。
であるなら、この、東電記者会見泊まり込み取材が、直接の病魔の原因ではないと思いますが、それでも、この無理がなければ、これほど急激な病状の悪化はなかったと思うのです。
今も、ニコニコに残っていると思いますが、この取材は、彼にとっては戦場でした。
そこで、先の言葉です。
戦場では、「いい奴ほど先に逝く」
だから、日隅氏は、先に逝ってしまった。
悪い奴は残っているのに。
わたしなどは、こと志とは異なり、周りの人間多くに迷惑をかけて生きていますから、「先に逝く」ほど「いい奴」ではないとは思うのですが――
ああ、戦場では、もうひとつ死ぬ条件がありますね。
これもかなり高確率で真理です。
それは、
「運の悪い奴は先に死ぬ」
これなら、わたしも当てはまりそうですがね。
とにかく、戦場を、華々しく一騎駆けして散ってしまった日隅一雄氏のご冥福をおいのりします。
個人的には、地味でも良いから、ゆっくりと生きて欲しい人でありました。
p.s.
もちろん、彼も完璧な人間ではありません。
長らく民主党を応援し、民主党になれば、多くの問題が解決するとの意見を主張したものの、管政権以降は政府批判を強めるも、以前の政権擁護については発言がないなどと、批判を受けることもありました。
個人的には、イイワケするより、行動で示したほうがよい、というのが彼の考えであったのだと思うのですね。