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生豆焙煎

 珈琲を飲み始めたのは、小学生の頃だったと思う。

 母が珈琲好きで、たまにサイフォンでいれてくれる珈琲に、たっぷりとミルクを入れて飲むのが好きだった。

 子供ごころに、理科の科学実験のように、アルコールランプを使い、ガラス管を上下する琥珀色の液体を見るのうれしかった。

 中学生になり、受験勉強をするようになって飲む量が増えた。

 忙しいときはインスタントを飲んだが、時間のある時は、買ってきた焙煎豆を、ハンドミルで挽き、カリタ式ドリッパーでドリップして飲んだ。

 そのころからひとり暮らしを始めたので、洗いモノが増えるのを嫌って、ブラックで飲むようになった。
 砂糖やミルクを入れると、カップにこびりついて汚れが落ちにくかったからだ。
 現在のように、一般家庭に食器洗い機がなかったころのことだ。

 当時で、日に30杯は飲むようになっていたように思う。

 自家焙煎を始めたのは、十五、六年前のことだ。
 
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 生豆を手にいれたので、焙煎の仕方を調べたのだが、よくわからなかった。

 当時は、個人が焙煎する方法の載っている本がほとんどなく、インターネットも未発達だったためだ。
 わずかに、茶こしがふたつ合わさったような、ゴマ炒り器のような焙煎器具を使い、ガスコンロから強火の遠火で、長時間かけて丁寧に炒る、といったことを知ったが、その器具自体、どこにいけば手に入るのか分からなかったのだ。

 色々と探すうちに、ニフティの珈琲フォーラムで焙煎の方法を知った。

 フォーラムの管理者は、分かりやすく、簡単な焙煎方法を教えてくれていた。(次回掲載)
 
そして、彼は、最後にこう締めくくっていた。

「焙煎は、そんなに難しくない。慣れれば誰でもできる。一番難しいのは、生豆を手に入れることだ」

 確かに、珈琲豆店に行っても、よほど親しくならないかぎり生豆は売ってくれない、そんな時代だった。

 時は流れて、今では、インターネットを通じて、簡単に生豆を買い、器具をそろえて焙煎することができるようになった。

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 焙煎器にしても、先に書いた手動焙煎意外に、機械的な焙煎器も各種売られていて、だれもが簡単に焙煎したての珈琲を飲めるようになった。素晴らしいことだ。

 一度、焙煎したての珈琲を飲んだら、なかなか挽き売りの豆に戻ることはできなくなる。

 いくら、店で挽きたての豆を買って、冷凍庫で保管しても、味の違いは歴然だ。

 健康に対する、珈琲の各種効能は、広く知られるようになったが、本当に高価があるのは、酸化する前の炒り珈琲なのだから。

 生豆は、常温で長期保管できる。だから樽や麻袋にいれて輸入されていたのだ。

 このコーナーでは、それらの比較もしていきたいと思っている。

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