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あまったー(レンタルビデオ) 映画「アバター」と3D普及考

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 「アバター」余ってますね。

 貸し出し初日にレンタル店に行っても10本近く残っています。

 というわけで、早速借りて帰って観ました。

 3Dで観た記憶がよみがえりますねぇ。

 今、観返してみても、大きな欠点は見あたらない、娯楽作品としてはなかなかよくできた作品だと思います。

 もちろん、完全な作品ではありません。

 映画館で観た時にも思ったことですが、なんだかバカっぽい、「ID4」に似た、主人公サリーの安っぽいアジテーションと、それにノセられて突然コブシを突き上げるナヴィたちのペラペラさには辟易(へきえき)しますが、おそらくそれがアメリカ的高揚感なのでしょう。

 また、ナヴィたちの踊りが、体を円形に揺するイカニモ類型的なものだったのも気になります。

 かつて故伊丹十三氏が「マルサの女2」を撮る時に「新興宗教の踊りは難しい。既存の宗教に似ていてはいけないから」といっていたのを思い出しますね。

「ありそうだけどどこにもない、人をトランス状態に誘う踊り」なんて、よほどの異能がない限り思いつかないので、無理もないとは思いますが、異星人ナヴィたちが、どこかで見たような、幼児的に陳腐な動きをするのを観ると、少しだけ現実に引き戻されていまいます。

 我が家のテレビは、未だハイビジョン化もブルーレイ化もされていないため、ブラウン管によるDVD鑑賞でしたが、31インチのテレビの前に座って、これだけはちょっとだけ金をかけた、デノンのサラウンド・システムのボリュームを上げると、画面は飛びださずとも、なかなかの迫力で楽しめました。

 ああ、それで思い出しました。

 先日、某メーカーに務める学生時代の友人がやってきて、

「あの映画は、我が社が開発したシステムをキャメロンに与えて、3Dテレビの発売に先駆けて、3Dブームを作るべく撮らせたものだ」

と、ふんぞり返っていっていました。

 真偽のほどはわかりませんが、数日前に、いよいよ、そのメーカーの3D商品が発売され始めたのは確かです。

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 左上の、被写界深度を変えられる3Dカメラは今秋発売だそうですね。

 あー心配。

 以前に書いたように、わたしは、急速なテレビの3D化には危惧を持っています。

 デジタル化、そしてハイビジョンテレビの次に、なんとか新しい製品を売り込もうとしているメーカーにとっては、この3Dブームは願ってもない「第三の波」でしょう。

 どんどん、情報処理部分をモノチップ化してコストを下げ、安い製品を投入するに違いありません。

 わたしがそういうと、友人は、

「個人的には、会社の収益が上がってボーナスが出る方が嬉しいが、おそらくこんなもの流行らないだろう」

といいます。

「メガネをかけなければ飛び出さないテレビなど、売れるわけがない」と。

 私見では、そうあって欲しいと思います。

 たしかに、その会社の3D化方式は、画面変化の反応が、液晶より速いプラズマテレビを使って、右目と左目の映像を(確か60分の一秒ごとに)交互に映し、それにタイミングを合わせた液晶シャッター付きのメガネを使って、立体視させています。

 これは、メガネの値段が高いという反面、放送局ではなく、テレビ側で右目と左目のどちらか一方の画面だけを表示するようにすれば、容易に2Dと3Dを切り替えられる、という利点があります。

 これなら、コストさえ下がれば、一般家庭に普及しそうです。

 くだんの友人は、「開発にかかった費用を考えれば、値段はすぐには下がらないから、普及は難しいはず」といいます。

「コンテンツを作る機材も高すぎて、普通の制作会社は買うことができない」とも。

 しかし、スケール・メリットを考えれば、少々赤字を出しても、メーカーは普及に努めるはずです。

 先に書いた、モノチップ化による大幅なコストダウンも可能でしょうし。

 問題は、3D化の基礎理論が、外国のハゲタカ特許会社の所有である場合ですが、これはたぶん大丈夫でしょう。

 というわけで、電機メーカーのための、さらなる市場オープンは目前という気がします。

 中国というお客さんもいますし。

 個人的には、安易な3D化はやめた方が良いと思いますがねぇ。

 最近の子供の、半数近くが何らかのアレルギーを持っているという調査結果が先日発表されました。

 ギョウ虫・回虫のいない清潔過ぎる生活、そして親の生活サイクルにつきあわされて、幼児のくせに夜型の生活を強いられる毎日、もちろん細菌を発生させない(つまり殺す)成分=保存料たっぷりの食物を連日食べ続けるのもその原因でしょう。

 これも、生活環境、サイクルと食生活変化が子供に与える影響を、ゆっくり検証しないまま安易に取り入れた結果です。

 もひとついえば、乳幼児から飛び交う電磁波の影響も無視できないハズ。
(仕事上、ウチは常時稼働するコンピュータが一般家庭の数倍あるため、せめてもの対抗策として電子レンジは使っていません……ムダか?ま、乳幼児どころか子供もいないけど)

 その上、さらに、ホンモノでない「疑似3D」を急速に普及させるのは、いかがなものか。

 大人はもちろん、成長段階にある子供の脳に、どのような悪影響を与えるか、知れたものではありません。

 不自然な3Dが脳に与える影響の学術研究は、まだ緒についたところなのです。

 突然、口からアワを吹いて全身をケイレンさせ、倒れるような病気(固有名詞は避けます)が子供たちに蔓延してからでは遅いと思うのですがねぇ。

 一応付け加えておくと、すでにメーカーと放送局で「3Dコンソーシアム」という団体が作られ、3D視聴に関する安全ガイドラインを作成しています。

 いくつか引用すると、

 ・立体を強調する効果を多用したり、長く続けたりしない
 ・大人と子供では見え方が違う。
 ・テレビと目を平行にして観る。

って、このガイドラインは何のためにあるのかわかりませんねぇ。常識論を漠然といっているだけです。

 現段階で、民法地上波では3D機材の普及が未知数のため反応は鈍いそうですが、某幹部によると、

「家電メーカーなどのスポンサーが開発に力を入れている以上、コンテンツ制作に取り組まざるを得ない」そうです。

 個人的に、技術的に少し展望があるかな、と思えるのは、NHKが2025年放送開始するスーパーハイビジョン技術を応用した裸眼3Dテレビでしょうか。

 撮影時、カメラの前に、微小レンズでできた版を置いて様々な角度から対象物を撮影し、上映時もディスプレイの前にレンズ版を置いてみる方式です。

 試作品を実際に見ると、簡易ホログラムといった感じで、観る角度によってものの見え方が変わるそうです。

 これなどは、いまだ奇術程度の扱いで、実際にドラマを観る際に使えるかどうかは疑問ではありますが。

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