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スッキリしすぎているVR映画 「アサルトガールズ」

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 遅ればせながら、押井守氏の「アサルトガールズ」を観ました。

 http://assault-girls.nifty.com/

 いわゆるVR(バーチャル・リアリティ:仮想現実)空間において、仮想生物(砂クジラ)を狩る話です。

 始まってすぐに、この映画が、あの各国の映画監督から絶賛を受けた「アヴァロン」と同じタイムラインに乗った話であることがわかります。

 押井監督お得意の、例の「立て板に水式」の事後承諾的(じごしょうだくてき)世界観の一方的ナレーションによって、未来が、仮想空間での成果によって「現実に金銭を得ることのできる世界」になっており、今回、立てられたワールド(あたかも2チャンネルにおけるスレッドのように)が、アヴァロンとは違い、人VS人の戦闘ではなく、砂漠に潜む巨大生物を狩ることに主眼をおいたハンティング・ワールド(1ヶ15万円のバッグじゃないヨ)であることが知らされます。

 が、わたしの文章同様、まわりくどい押井氏らしい表現は、映画冒頭のみ。

 さらに、岡田斗司夫氏が、某パソコン雑誌連載の「ま、いいか金ならあるし」で、いみじくも看破(かんぱ)したように、説明してしまえば簡単なことを、説明を放棄することで、視聴者に対して提示した設定やストーリィを、彼らの教養と能力に応じて深読みさせることで、深遠な物語に変貌させるという『押井作戦』が、「アサルトガールズ」では、まったく行われていませんでした。

 どうしたの?押井氏

 ま、それはともかく。

 砂漠世界で戦う人々は、砂クジラを倒して得たポイントで、自身の格闘スキルポイントを上げ、兵装(へいそう)を充実させ、移動用のジェット機を手に入れます。

 しかし、長らくこの世界で戦ううちに、とくに上位数人のハンター(おそらく、他にはもっと小物もいるのでしょう)は、自分が獲得した装備の維持費が、毎回の獲得ポイントと釣り合って、それを抜け出せなくなっているのです。

 いわゆる頭打ちになっている、いいかえればテンパッた状態なのですね。

 何とかして、この世界の一番巨大なエモノを倒して、次のステージに進みたいけれど、それには兵装が弱い。

 しかし、毎日、狩る小物クジラのアガリでは、武器の維持だけで精一杯。予備の弾薬を買うこともままならない。

 そこで、彼、彼女らは、コンピュータのゲーム・マスターから、ローン・ウルフ(一匹狼)をやめて、チームを組んで巨大クジラを倒すようアドバイスを受けます。

 そしてついに、ハンター・チームと砂クジラの戦いが始まるにゃー。

 え、アイルーはどこにいるの?

 と、いつの間にか、まるでモンスター・ハンターの世界観になってしまってますよ、コレ。

 そして、戦いが終わり、映画も終わる……

 ええッ!

 もう終わりましたか?

 何のヒネリもなく?

 うーむ。本当に押井氏は変わってしまったのだろうか?

 はなしがプレーンすぎる。

 老いては麒麟も……

 ま、ともかく、この映画に関しては批判めいたことを書くのは止しておきましょう。

 CG合成アクションとしては、アヴァロンより優秀ですし。

 ひとことだけいわせてもらるなら、こういった映画に出る女性たちには、あともう少しだけ武器の扱いに習熟して欲しかったなぁ。

 そりゃさ、つい先日、飽きもせず再び回したメタルギアソリッドで、目に焼き付いてしまったメリルやボスの美しいともいえる武器操作と、ただの役者の動きを比較する方が間違っているんだろうけど……。

 扱うのが、何とは知れぬ未来兵器とはいえ、ボルトアクションの手つきがヘボすぎると観るのがイヤになってしまいます。

 余談ながら、友人と、この映画の予告映像を観ていて、「押井監督、8年ぶりの実写映画」というテロップを目にして、何気なく、「ああ、アヴァロンから8年か」と呟くと、

「いや、『立喰師列伝やろ』」とツッコミが入ってしまいました。

 そういや、そんなもの撮ってましたねぇ。

 ウチには、特製オリジナルマウスパッドまであるのに、忘れていました。

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