サムライ・チャンプルーが終わった。
もとより、制作されたのは随分まえの作品だから、今回、アニマックスで放映されていた分が終わったということなのだが……
すっきりとした綺麗な終わりかたで、見終わってこんなさわやかな気分になったアニメーションは久しぶりだった。
まさしくロードムービーの王道。
若き日の医学生チェ・ゲバラの貧乏旅行を描いた佳作「モーターサイクル・ダイアリーズ」がそうであったように、ロード・ムービーとは、主に若者が経験する一片の夢だ。
必ず終わりのある夢。
夢であるが故に素晴らしく、そこから離れたくなくなる世界。
そして、これは、多分にわたし個人の理想なのだが、終わったあとで、その終着点から元気に手を振って歩き出せる夢、それこそが最高のロードムービーだと思えてならない。
ロード・ムービーの範疇(はんちゅう)には入らないかもしれないが、萩尾望都の「11人いる!」が「チャンプルー」と同様の感慨を抱かせる作品だった。
萩尾望都は、「11人〜」「続・11人いる東の地平 西の永遠」の後、「スペース・ストリート」というギャグ漫画で、主人公たちの学生生活を描いていたが、この「チャンプルー」も、必ずアフターストーリーが描かれなければならないだろう。
孤独なまま集まった三人が、旅の果てに、自分の中に欠けていたピースを見つけ、しっかりと自身に嵌め込んでゆっくりと歩き出す。
さよならを言わずに別々の方向へ。
実際、「カウボーイ・ビバップ」と、同じ者の手になるとは思えないほどに、「チャンプルー」の完成度は高かった。
単にわたしがジダイモノを好きなだけかもしれないが、それだけが要因とも思えない。。
機会があれば、全話ぶっ続けで観てほしい。
そして自分の目で確かめて欲しい。
玉石混淆(ぎょくせきこんこう)ではあるが、そのイシですら、凡百な作品よりは数段上であるものだから。