今夜久しぶりに姉と会って話をしているうち、彼女が、「今夜、映画『チャーリーズ・エンジェル(フルスロットル)』をやるのは、オリジナルのファラ・フォーセットが亡くなったからだ」といったので、驚きました。
なんと、わたしの知らない間に、600万ドルの男:リー・メージャーズのかつての夫人は亡くなっていたのですね。病気だと聞いてはいましたが。
彼女については、先に述べたリー・メージャーズと結婚していたこと(一時、芸名もファラ・フォーセット・メージャーズにしていて、わたしなどそちらの方が馴染みがある)や、カメリア・ダイアモンドのCM出演、そして、あの「ある愛の歌」の主演あるいはテイタム・オニール(*)の父である、ライアン・オニールとの十数年にわたる内縁関係(って表現はベタ過ぎる?)や、その間に、二人の間に生まれたレドモンド・オニールがムショでオツトメをするハメになったりと、書きたいことは山ほどあるのですが、とりあえず、一番残しておきたい話を書くことにします。
ファラ・フォーセットで思い出すのは、映画「スペース・サタン」(80年)です。
個人的に、エイリアンに代表される「SFパニックもの」は好きなのですが、これは、エイリアンの大ヒットを受けて急遽作られた感のある作品です。
おそらく、どのSFパニック作品より豪華なキャストだったのではないでしょうか?
主演は、あのカーク・ダグラスなのですから。
彼ほどSFパニックから遠い印象の役者はいないと思うのですが、あるいは、それが彼へのオファーの要因だったのかもしれません。
かなりの老齢をおしての出演ですが、全裸になって臀部(つまりお尻)を剥き出しにする熱演です。
ライナー・ノーツによると、ファラ・フォーセットも、それに負けじと全裸を披露ということになっていますが、不思議とその姿は記憶にありません。
それより、年齢から来る男性機能の衰えに悩むダグラスを奮い立たせるために、彼女がスパルタンな皮の女王様ルックとなることの方が印象的で、そちらばかりが記憶に残っています。
って、それだけじゃ、どんな映画なのかまるでわかりませんね。
ストーリーは、だいたいにおいて、正統SFパニックものです。
一般社会から隔離された土星の第三衛星(だから原題はSATURN3)で暮らす年の離れたダグラスとフォーセットのカップル、そこにやってくる若い管理官(若き日のハーベィ・カイテルが演じています)。
美しいフォーセットに恋するカイテルと、年齢差から恋愛に積極的になれず、いっそカイテルに彼女を譲ったほうが良いのではないかと苦悩するダグラス。
だが彼女はダグラス一途で、カイテルを見向きもしない。
やがてカイテルは、この衛星基地で神となって、ファラ・フォーセットごとすべてを手に入れるために、ある実験を実行する……
というストーリーなのですが、監督の資質なのか(シャレードのスタンリー・ドーネン監督)、どうも二人の愛を精神的に描くというより、肉体的な愛をも描こうとして、セクシュアルな描写になってしまっているのですね。
だから、カーク・ダグラスは年老いた尻を露出することになってしまった……
しかし、悪役たる若き日のハーベイ・カイテルの不気味さは突出しています。
機会があれば、ぜひご覧ください。
しかし、ファラ・フォーセットが亡くなったなんてなぁ。
奇(く)しくも、(あの)マイケル・ジャクソンと命日が同じだっただけに、あまり世間的には話題にのぼらなかった(わたしが知らないだけですか?)のは残念でなりません。
このあと、彼女以上に訃報に接してショックなカメリア・モデルは、おそらく「枢斬暗屯子(スーザン・アントン子)」だけだろうな。
(*)テイタム・オニール
女優、父、ライアン・オニールと9歳の時に『ペーパー・ムーン』に出演し、最年少(10歳)でアカデミー助演女優賞を受賞する。1976年の『がんばれ!ベアーズ』の頃を頂点としてあとは、多くの天才子役同様、スクリーンから遠ざかる。