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 クオド・エラト・デモンストランダム かく証明せり

 今回はテレビドラマの話です。

 最近テレビドラマがらみの話が増えてきたので、 恥ずかしながら、別にそれ用の書庫が必要かもしれません。

 いま、わたしには毎週楽しみにしている番組があります。

 その名は「Q.E.D.」です。

 意味は、ラテン語の、Quad Erat Demonstrandum(かく証明せり)の略語ですが、そのコトバをタイトルにもつコミックを原作とするドラマです。

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 例によって、とりあえず数話分、録画だけしておいて、先日、きちんと録画できているか確認するためにざっと流し観してみたところ……

 これが結構いいんですねえ。恥ずかしながら、すっかりファンになってしまいました。

 こういったドラマの好悪は主観によるところが大きいので、自分が気に入ったからといって、あまりヒトサマには勧められないとは思いますが、ホント、なかなか面白いですよ、コレ。

 実をいうと、以前、コミック喫茶でざっと原作に目を通してみたのですが、その時は、特に印象を受けませんでした。

 名探偵コナン、金田一少年、探偵学園Qなどと同列の「勢いにのって作っちゃいましたタイプの少年探偵」という感じの作品に過ぎないように思えたのです。

 主人公、燈馬 想(とうまそう)も、飛び級MIT卒天才児、といういかにもなステロタイプな設定で、特に魅力を感じませんでした。

 その実写ドラマ化、しかもNHK!

 朝の連続テレビ小説の体たらく、および金曜時代劇における駄作の連発、そして土曜日の「緒方洪庵なんたら」の壊滅ぶり……最近のNHKドラマはとんでもないことになっていますから(アツヒメだけは人気はありましたね。一回も観ませんでしたが)、Q.E.D.にも、まったく期待はしていませんでした。

 実際、第1話「青の密室」は駄作でした。
 スカイダイビング中の殺人をあつかったものですが、謎も謎解きもつまらない。

 しかし、第2話「銀の瞳」で、少し趣が変わります。
 謎と謎解きは相変わらず面白くないのですが、人間の描き方が良くなって来たのです。
 たとえば……

 活発で「おきゃん」な設定のヒロイン水原可奈が、人形作家の母によって大切に守られる女性をみて「わたしもあんなふうに守られたい」とつぶやきます。
 母のいない彼女は、父の警察官(警部)水原幸太郎によって、幼い頃から剣道を叩き込まれていてスポーツ万能なのです。
 番組のラストで、謎解きをし、Q.E.D.宣言をした燈馬がヒロインにつぶやきます。
「お父さんが君を鍛えたのも、きっと同じなんじゃないかな。君を守るためなんだよ」

 そして、彼女は父親の愛情に気づく。

 つまり、原作はともかく、演出と脚本の力のおかげで、Q.E.D.はさわやかな青春ドラマになっている。
 これがいい。

 あたかも、「宇宙の戦士」映画化としては失敗作だった「スターシップトゥルーパーズ」が、若者の青春友情物語として、長く語り継がれるようになったように……

 この作品を低く扱う人たちは、謎解き演出の下手さをけなしていますが、このドラマの眼目はそこではありません。

 演出には、確かな力を(ミステリ方面への力でないのが欠点ですが)感じます。

 特に第3話の「学園祭狂騒曲」では、ほんとうに学芸会レベルに話が落ちてしまいそうになるのを、その一歩手前で踏みとどまって、天かける孤高の天才:燈馬 想の気持ちが徐々に地上の一般人に寄り添っていく姿を描くことに成功しました。

 そう、Q.E.D.は、金*一少年に代表される凡百な謎解きドラマではなく、純粋に「アメリカで傷つき、日本に舞い戻った天才少年の人間再生ドラマ」として異彩を放っているのです。

 可奈を演じる高橋愛もなかなかいい(今まで見たこともなかった)。
 口元が在りし日?のマコーレ・カルキンに似てるし。
 声のよく通る、元気の良い原田知世といった感じで好感がもてる。

 ああ、それで気づいた。NHK版Q.E.D.は、実写版「時をかける少女」に感じが似ているのだな(大林版、NHK少年ドラマシリーズ版のどちらにも)。

 大人びて人生を達観した感のある少年とまっすぐな少女の恋。

 その意味で、原作と違ってヒーローとヒロインの身長が逆転しているのが良かった。

 原作では、燈馬の方が可奈より小柄なのだが、ドラマでは、演じる役者の体格ために、燈馬が可奈より随分背が高いのだ。まるで、ケン・ソゴルと芳山和子のように。

 現実の年齢が、少年の方が少女より、かなり年下である点も(高橋愛は「モー娘。」で最年長の22歳。対する中村蒼は17歳)時をかける少女に似ている。

 欠点は可奈を演じる高橋愛が華奢すぎて、どうみても強く見えないということだが、この際、そんな些末なことには目をつぶりましょう。

 第4話「ブレイクスルー」では、ついに、なぜ燈馬がMITから日本に帰って来たかが明らかになる。

 この回も、凡庸な謎解きはともかく、選ばれた天才のみが感じる孤独と、彼らが持つ「自分を理解できる能力を持つ者」の渇望(かつぼう)がうまく描かれていた。

 日本の主要キャラ以上に日本語が流暢(りゅうちょう)なガイジンがゲスト出演というアンバランスさも面白かったし……

 ここで燈馬は、自分をMITに連れ戻しに来た、同じ天才のシド・グリーン(ロキ)へきっぱりと宣言するのだ。
「自分は、(才能にあかせて早くから論理の世界で暮らしていたが)今は、日本の『もしかしたら楽しいかもしれない』世界で生きていきたいのだ」と。

 つまり燈馬は、置き忘れてきた青春を取り戻そうとしているのだ。

 まっすぐで元気な可奈を水先案内人として。

 第5話「サスペンス刑事/狙われた美人女優/迫りくるストーカー/断崖にこだまする銃声/可奈と想は全部見ていた」という長いタイトルは、現在放映された中での最高傑作となった。
 これは、おそらく原作なしのオリジナルストーリーだと思うが、サスペンスヲタクの刑事のスラップスティック(ドタバタ)を描いた秀作だ。

 次回、第6話はタイムスリップをからめた「賢者の遺産」で、あの役者バカ、藤岡弘も出演するので今から期待しています。

 観たことが無い方は、ぜひ一度ごらんになってください。

 ああそうだ、Q.E.D.の笑いドコロをもうひとつ。
 可奈の父親、水原幸太郎を演じる石黒賢が、今まで聞いたことのないドスの効いた(というか、変に声をつぶした)、妙な声で話すのを、おかしいおかしいと思っていたら、その理由に、さっき気がつきました。
 名探偵コナンで、眠りの小五郎を演じる神谷明が、フケた声を出すためにやっていた、妙なふうに声をつぶす話し方を石黒賢が真似ているのです。

 これも、ぜひ聞いてみてください。下手な物まねみたいで笑えますから。

 あと、エンディングの、青山テルマの歌をバックに流れる映像は「切り絵的ストップモーション」による大林宣彦ばりの表現手法をとっています。

 以上より、制作者側が「Q.E.D.」を「時をかける少女」に見立てて作っているのは明らか。

 Q.E.D. 証明終了です。

巧まずして怪演 ~トライアングル~

前にもどこかで書きましたが、わたしは海外在住の友人に頼まれて、地上波のドラマを録画しています。

 めったに中身は見ないのですが、たまにきちんと録れているか確認するために内容を観ることがあります。

 その際、面白そうなのがあると、何週間かためてからまとめて観ます。

 最近では、「チームバチスタの栄光」や「流星の絆」「夢をかなえるゾウ」などを観ました。

 先日、録りためた動画ファイルに目を通したところ、『関西テレビ放送開局50周年ドラマ「トライアングル」』に、とりつかれてしまいました。

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 内容自体は、それほどたいした謎があるわけではありません。

 よくある「登場人物たち(主人公すら)が、知っていることを話さないが故の謎」を中心に物語が作られています。

 こういった、黙秘の謎(かぶらや命名)タイプのミステリは、「なぜ、彼らが黙っていたか」がポイントで、ここにヒネリがないと「なぁんだ、時間のムダだった」ということになりかねません。

 ごらんになっている方はおわかりでしょうが、「トライアングル」は、主人公、江口洋介が演じる元医師にしてインターポールの係官?、郷田が、どういう名目からか(研修ということになっています)日本にやってきて、とっくに時効になった殺人事件を追いかける、というはなしです。

 その主人公、ゴウダ(名前がタケシならジャイアンなのに、残念!)は、上で書いたように「はっきりモノをいわない」「知っていることを全部視聴者に見せない」「妙に含みのあるキャラクタ」として造形されています。

 これは、演じる上でかなり難しい役どころだと思います。

 しかし、ここで江口洋介の演技がすばらしい。

 実のところ、彼について、わたしはよく知りません。

 若い頃も知りませんし、最近?では「白い巨塔」に出ていたようですが、わたしは田宮版の大ファンなので、リメイク版をほとんど観ていないのです。

 歯に衣着せず、いい切ってしまえば、「トライアングル」の俳優江口洋介は、明らかにダイコンです。

 これも最近観た「金田一シリーズ」で、芸達者にかこまれてダイコンに見えていた稲垣吾郎メンバー(この呼び方覚えてる?)の演技すら確かなものに見えてくるほどに……
(誤解なきように。わたしは、稲垣メンバーの金田一シリーズは、そのエキセントリックな演出も含めて好きです)

 他の登場人物から何か言われるたび、数年前にイチローがオバマばりに「変わらなきゃ」を連呼していた某自動車会社のCFそっくりに、アカラサマに、視線を上にやったり、下にやったり、あげく無意味に斜め上を見上げたり……目の体操かよ!

 しかし、いかにもそれが怪しい。

 ヒドク怪しい。怪しスギル。うさんくさい。何か企んでいそう!

 意味もなく、とつぜん作る笑顔も「含み」があるように見える!

 そして、おそらく彼はそれを意図していない……

 つまり、ダイコン演技が、巧まずしてイカガワシく怪しい男を見事に体現しているのです。

 これはキャスティングの妙として、プロデューサー賞賛しなければならないでしょうねぇ。

 今後の展開はどうあれ、「トライアングル」

 江口洋介氏の怪演を鑑賞するだけでも、観る値打ちはあるようです。

あ、これ映画館で観たかったんだよね えっ「メタルマン?」

 なんかもう土曜日の夜だしさ、例のDSの万歩計「生活リズムDS」の一日3000歩のノルマも達成したいので、読んでいた久坂部 羊(くさかべよう)の「無痛」をいったん机に置いて、近所のGEOに出かけた。

 なんせ「土曜日だし三連休の初日だし、何にも残ってないだろうなぁ」と思いながら、新作の棚に近づくと、やっぱりほとんど貸し出し中だった。

 この間書いた「スターシップトゥルーパーズ3」などは、ずらっと一棚全部中身が無くなっている。

 だが……あれ、これは!

 映画館へ観に行きたかったけど結局行けなかった、というか、あまり人気がなかったからか、すぐに上映が打ち切られたみたいだけど、やっぱり観にいきたかったロバート・ダウニーJrの「アイアンマン」が出てるじゃないの!

 しかも、借りられず残っている!

 ラッキー!とそのままDVDを持って行こうとして気づいた。

 ああそうそう、カバーは残して中身だけ持って行かねば。

 前に友人に「イナカモノは外箱ごと持って行く」とからかわれたことがあるのだ。

 イナカモノであることは否定しないが、何回も借りるうち、わたしだって借り方ぐらいは覚えられる。

 意気揚々とレジの前に並びつつ、もう一度プラスティック製のケースの中身を確かめた。

 よく、中身だけ差し替えるという非道な行いをするヤツがいるのだ。

 前に、確認せずに借りて、予定とまったく違う映画を観るハメになったことがある。

 と……

 なんじゃこりゃあああ!(もう誰風の発言か書くのはヤメます。わかりますよね)

 「アイアンマン」じゃなくて「メタルマン」↓

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 これってサギじゃないの!

 ちょっとヤバくね!

 そっくし過ぎネ!

 と、ついヤング言葉?になってしまうが、危なかったなぁ。

 もちろん、すぐに棚に戻しましたよ。

 実のトコロちょっと観てみたかったですがね。

 だって、誰も借りてないってことはオモシロクないってことでしょう?

 だったら、帰って「無痛」を読みますよ。

 あ、読んだら、また感想を書きますね。

 あと、こんなのもあったなぁ……これもいいのかなぁ。↓

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 たいむじゃんぱぁって……

 ジャンパー(ホンモノ)については、また別に書くつもりです。

                ↑興奮のあまり、写真がブレてしまいました。

                  ちなみにホンモノ↓
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 やっぱりニセモノはちょっとチャチイ、っていうか、体が起き過ぎってカンジだな。

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