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あたらしき鉄人

 先日、かねてより「観ろ」と勧められていた今川版鉄人28号を観た。
 2004年にテレビ東京系の深夜枠で放映されていたらしいが、我が家は地上波がきれいに入らない立地条件にあるため、今回、初めて視聴することができたのだった。

 さすがに「ミスター味っ子」の監督をしていた今川氏だけのことはある出来だった。

 何より時代設定を太平洋戦争十年後という原作どおりにしたことが素晴らしい。

 凡庸な監督なら、現代、あるいは中途半端な近未来にしてしまうところだ。(そして、戦争の亡霊として立ち上がってくる鉄人の悲哀を台無しにしてしまうだろう)

 オープニングで金田正一もとい正太郎が、走っていく道の上空には、あの懐かしい市電の電線が夥しく交差し、足下は煉瓦畳のペーブメントが光っている。

 携帯電話など存在せず、大塚署長は黒電話をつかみ、オート三輪が道を闊歩する。

 ショーワ・ノスタルジィここに極まれり!

 ただひとつ、ちょっと引っかかったのは、列車の多くが電化されていたことだった。
 昭和三十年初頭、列車の電化は遅々と進んでおらず、人々はその目に、丘を走る鉄人としての蒸気機関車を日常茶飯映していたはずだから。

 まあ、これについては「『鉄人』が存在する平行世界のことだから」と言われれば頷くしかないのだが。

「ジャイアントロボ」以来、故横山光輝氏の作品の映像化に腐心している今川氏であるなら、次回はぜひ、「魔法使いサリー」を手がけて欲しいものだ。

 というわけで、もう少し情報を手に入れたいと思って、サイトを検索してみると、来る3月15日に公開(後悔?)される予定の実写版鉄人28号が引っかかった。

http://www.tetsujin28.jp/

 まあ、誰も期待してはいないだろうが、サイトの出来を見ただけでも、この実写版の出来は察せられるだろう。

 キャシャーンを端緒に、デビルマン、キュティー・ハニー、ハットリくんと、下落し続けてきた懐古アニメ実写化計画の水準が底を打ったという感じがする。

 今川版鉄人のサイトと比較すれば、そのセンスの違いは一目瞭然。悲しいね。

http://www.tetsujin28.tv/

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