これは、リトル・バスタードから十年以上たって、二年ほど前に書いた作品です。
ミステリの体裁はとっていますが時代物です(タイトルからわかりますね)。
梗概:あらすじ
将軍家光の時代。
坂城慎之介は小藩である中山藩の武士だ。禄は少ないが剣の腕は立つ。
彼には、剣術仲間である野崎瑞賢(のざきずいけん)がいた。
瑞賢は医者で城主の腹違いの弟だ。
名君と謳われた城主は、数年前に原因不明の火事で死に、今は、十歳の幼君勝治(かつはる)が藩をおさめている。
医学の勉強のために国際都市堺(当時は長崎よりもその気風を残していた)に長く滞在し、日本中を旅して回っていた瑞賢が久しぶりに慎之介を訪ねてきた。
旧交をあたためる二人。
だが、瑞賢が話し始めたのは藩内に流れる奇怪なうわさ話だった。
前城主が死ぬ前に、途方もない武器をどこかに隠しているというのだ。
おりしも、隣国川村藩からは嫌がらせまがいの領土侵犯がくりかえされ、領民や藩士の不満が高まっていた。
半信半疑ながら、慎之介と瑞賢は「謎の武器」を探し始める。
だが、やがて真実にたどり着いた二人を待っていたのは恐ろしい事実だった。
貧乏な藩を治める名君が陥った悲劇。
短い話なので、ぜひお楽しみください。