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さらばカンフー 〜デビッド・キャラダイン死す〜

 6月4日というから、もうひと月たらず前になるのだが、「燃えよ!カンフー」のクワイ・チャン・ケインや「キル・ビル」のボス役を演じたデビッド・キャラダインが、バンコクノホテルで首を吊って死亡しているのが見つかった。

 享年72歳。

 あのブルース・リーが自分を主演にして企画を持ち込みながら、最終的に「制作者側の思惑」で青い眼の白人ながら中国大陸でカンフーをマスターした男に設定を変えられて、主役に抜擢されたのがキャラダインだ。

 わたしも、深夜の再放送で、子供ながら「中国の話なのに(アメリカも舞台になるが)どうして無理矢理白人が主役なのだろう」と不思議に思いつつ観ていたことを思い出す。

 個人的に、彼の作品で気になっているのは、リメイクもされた「デスレース2000年」だ。

 キャラダインは、先頃封切られた2009年版の「デスレース」では、声の出演もしているが、この1975年版の方が、過ぎ去りし未来:75年から四半世紀(25年)後の未来である、退廃した2000年を描いていてわたしの好みである。(個人的に、現実的にはもう過ぎてしまった時代を描いた未来映画が好きなのだ)

 ――どう切り出したものか、本当に書きたいことを先延ばしにしているから、こんな展開になってしまっているのだが……

 実のところ、キャラダインの死は、どうやら自殺ではなさそうなのだ。

 心の底まではわからないものの、映画俳優にとって、先頃は「デスレース」へカメオ出演を頼まれ、今回も、映画ストレッチ(Stretch)撮影のため訪れたバンコクで、M.ジャクソンのように薬物の大量摂取ではなく、クローゼット内で首を吊って自殺するとは思えない。

 実際は、首を吊っての自殺などではなく、手を後ろで縛られた上、もっとおかしな状態(ネットでお調べを)で発見されているので、現在も捜査当局は他殺の疑いで捜査中なのだ。

 期せずしてカンフー映画に出演し、大ヒットをした故に、中国武術や東洋哲学に興味を持つようになり、その習得と研究に力を注いだ男が、かような最期を迎えるとは、まさに「棺覆ってのち定まる」人の人生は最後まで分からないものだ。

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