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オーバーテクノロジのレトロ・ヒーロー 好きよキャプテン! ~キャプテン・アメリカ~

 今夜、散歩がてら、ぶらぶらと近くのレンタルビデオ店に行ってみると、先日レンタルが始まって、大人気の「猿の惑星<創世記>」の横に、見たことのないタイトルが。

「キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー」

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 そういえば、映画の予告を観たことがある。

 結構、シリアス調で、わたし好みだったような。

 幸い、20ほど並んでいるディスクのほとんどが借りられていなかったので、たまたま一つだけ残っていた「猿の惑星<創世記>」とともに借りて帰りました。

 帰ってから調べてみると、レンタル開始は24日から。

 だから、いっぱい残っていたんだなぁ。フライングなんだ。

 で、早速観始めて、いま観終わりました。

 鉄は熱いうちに打て、ともいいますので、早速、感想を書こうと思います。

 しかしながら、わたしは熱心なアメリカン・コミックブックの読者ではありませんから、キャプテン・アメリカについては、ほとんど知識がありません。

 放射能を浴びた蜘蛛に咬まれたのか、緑の放射線を浴びたのか、宇宙で特殊な宇宙船を浴びてスーパーヒーローになったのか。

 結論からいうと、キャプテン・アメリカは、ロケッティアと同じで、ナチスドイツと戦う、オールド・ファッションド・ヒーローでした。

 彼が活躍するのは、1942年頃なのです。

 原作は知りませんが、映画では、キャプテン・アメリカの正体は、ナチス・ドイツに対抗する超人部隊を作るために、戦略科学予備軍が行った、スーパー・ソルジャー計画の最初のひとりとして被験者になった、身長160センチの軟弱青年ロジャーです。

 詳細は、公式サイトのオープン動画を観てもらうとして……

 サイトでも書かれているように、そして、わたしが映画館の予告で観て、観てもいいかな、と思ったのは(忙しさにかまけて結局DVDで観ることになりましたが)、なぜ、歴代ヒーローたちはタイツのコスチュームを着るのか、の答えがこの映画で示されているからです。(答えは彼らが、客寄せパン……いや、サイトをご覧下さい)

 それに、ヒロインが魅力的なのがいい。

 レトロな髪形、レトロな容姿、そしてレトロな服装、って軍服ですが……

 個人的に女性の服装は、「フリルひらひら」より「カッチリしたスーツ系の服装」が好きなので、軍服姿(ただしスカートに限る)の女性は好きという、個人的嗜好もあるのでしょうが、

 スーパー・ソルジャー計画が成功して、身長190センチ近くの、筋肉隆々スーパーボディを手に入れたロジャーですが、その能力は、成人男子の4倍ほど、って、他の数トンのクルマを、電車を、戦車を持ち上げる、スパイダーマンやハルクや、地球を逆回転させてしまうスーパーマンに比べたら、ちょっとばかしショボクネ?

 でも、いいんです。

「キャプテン・アメリカ」は、映画「スカイキャプテン」同様、実際の時代より科学の進んだ「オーバー・テクノロジ」設定の映画で、わたしはそういった設定が好きだからです(主観全開でもうしわけありません)。

 彼の敵は、ナチス党内部に創設された、ナチス科学武器開発部ヒドラ党、そのリーダー、ヨハン・シュミット(レッド・スカル)で、彼は、当時のナチスの例にもれず、オカルティックなイコン(まあ、キリストを突き殺したロンギヌスの槍とか、キリストの棺とか、キリストの聖杯とかですね)のミステリー・パワーと科学を融合させたレーザーみたいな究極武器を開発しています。

 それに対して、キズの回復力が優れているとはいえ、常人の四倍の体力の男が対抗できるとは思えないのですが……

 ご存じとは思いますが、現実のナチス党は、近代史上まれに見る、オカルト・ミステリー軍隊でした。

 彼らこそ、マダム・ブラヴァツキーの後継者。本気で、キリストの聖杯を探し求めた希有の軍隊なのです。

 しかし、ヒドラの面々が、両腕を斜め上に突き上げて、「ハイル・ヒドラ」っていうのはどうにかならないかなぁ、と思いますが。

 もうひとつわたしが気にいった点を。

 時代設定が1940年代で、出てくる実験機械のダイアル、目盛り、スライダックなどがレトロ感いっぱい、わたしの大学の実験室にもあったようなものばかりで、それも良い感じなんですね。

 たとえていうと、初代版「ハエ男の恐怖」だとか「ガス人間第一号」(八千草薫演じる踊りの師匠が本当に美しい!)の実験室に似てるんです。これがいい。

 こんな感じです。

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 最後はちょっと悲劇的な結末を迎えますが、これはこれで良いでしょう。

 繰り返しますが、映画の(そしておそらく原作も)設定は、本当に魅力的です。

 主人公ロジャーは、脆弱で小柄で4度の入隊志願を4回とも落とされた兵士不適格者ですが、その精神の強さと魂のタダシサはピカイチな男です(このあたり、ヘナチョコ時代のスパイダーマンに似ていますね)。

 それ故に、スーパー・ソルジャー計画の中心人物、ドイツからの亡命者であり、戦略科学予備軍(SSR)の科学者であるエイブラハム・アースキン博士は、肉体頑健な他の候補者でなくロジャーを選んだのです。

 もともと肉体的に強い、「美女と野獣」のガストンみたいなヤツは、魂の強さを持てず、かえって肉体の優位さを自分の値打ちと勘違いして邪悪さを増大させてしまうものだ、と博士は考えたのでしょう。

 たとえ肉体的には弱くても力に負けない、という精神の強い人間にこそ、強い力を与えるべきだと。

 これは正しい見識でしょう。

 健康で身体能力に恵まれてインターハイなどに出られる学生と、ぜんそくや病気を押して、なんとか登校している学生のあいだに魂の強さの優劣はありません。

 というより、極言すれば、頭角を現すスポーツ選手は『ただ健康でよく動く身体に恵まれただけ』で、身体の動くうちは、イケイケでがんばれるでしょうが、いったん怪我や故障に見舞われると、それに耐えられなくなることが往々にしてあります。

 頑張った上に、もっと努力して成績を上げることは得意でも、思い通りにならない身体を押して人並みに頑張る苦労には耐えられない。

 だからこそ身体に恵まれた、あるいは問題なく生活を送ることができる我々は、そのことに感謝し、ハンディキャップをもつ人々のことを考えねばならないのです。

 横道にそれました。

「キャプテン・アメリカ」

 SFX的には、それほど派手なものはありませんが(なんせ、成人男性の4倍ほどの能力ですから)、主人公の誠実な人柄と相まって、なかなか魅力的な話に仕上がっています。

 あ、ラストのラストまで映像が入っているので、エンドロールが始まったからといって、トイレに立ったり、止めたりしないで、最後まで観てくださいね。

 損しますよ。

 なお、以下のサイトには、「キャプテン・アメリカ」についての素晴らしいトリビアルの記事があります。
 ご覧になってください。

  http://blog.movie.nifty.com/herojungle/2011/10/post-2a46.html

 おそろしく精巧な1/6フィギュアも発売されているようです。
 参考までに写真を掲載しますが、あなた、買いますか?

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