ヒソヒソ話をする、を英語でtalk in a whisperといいますが、だいたいにおいて、それが外に漏れると問題が起こりますね。
26日、オバマ大統領がロシアのメドベージェフ大統領にこっそり話しかけているのを、会議場に戻ってきた記者の集音マイクが拾ってしまいました。
慎重居士と評されるオバマ氏らしからぬ失態ですが、それは、単なる失敗には終わらない様相を呈してきているようです。
何せ、アメリカは大統領選を控えていますから。
韓国で行われた核セキュリティサミット、その前に行われた米露首脳会談でのことです。
当然、報道陣はオミットされて会議室には入られないのですが、会談後の写真撮影をするために、記者たちが入室した後も、二人の首脳は、頭を寄せ合って、なにやらヒソヒソ話を続けていたのです。
そこで、記者のひとりが集音マイクを向けたところ………
オバマ
「これが二期目の私にとって、最後の選挙だから、選挙後は、(ミサイル防衛についても)もっと柔軟になれます」
メドベージェフ
「はい、そうウラジーミル(プーチン)に伝えます」
と話しているのが、捉えられてしまったのです。
これはつまり‥‥‥
ミサイル防衛をめぐって、「激しく対立している米露」を演じていたはずの大統領が、自らの選挙事情をさらして、「今はトンガったことを言っていますが、これも選挙のため、強いアメリカを欲するバカ国民の票を得るために、しかたなくやってることでして、選挙が終わって再選されれば、もっと柔軟になりますよ」とロシアに告げたということです。
対して、メドベージェフ大統領も、そのことはしっかりとプーチン氏に伝えます、と、自分が伝書鳩にすぎないことを証明してしまったのですから。
これはイタイ。
米大統領選、おそらく保守党はロムニー氏で決定だろうけど、野党は、この世界的な失態を捨ててはおかないでしょう。
オバマ氏の再選は、これで消えてしまうかもしれません。
まさに、世紀の大失態のひそひそ話。
前大統領の「ランドセル」ブッシュも、その前の「不倫」大統領クリントンも、ピンマイクをつけたまま女性を罵ってダウニング街を去って行った英国のブラウン首相、日本の森首相や宇野首相など、首相クラスの失言・失態の類にはこと書きませんが、クレバーな男の、大統領選前のこの失敗は、あまりに大きいものだと思います。
この事件を耳にしたロムニー氏が、さっそく、
「ロシアはアメリカの、ナンバーワンの敵なのだ」
と吠え、また、それを聞きつけたメドベージェフ大統領が、
「時代錯誤な冷戦時代のイメージだ。理性を働かせろ」
と反論するなど、アメリカは、まさに大統領選を軸に仁義なき中傷合戦をくりひろげています。
この反響を受けたオバマ氏が、ソウルで、
「発言に他意はない」
といったそうですが、意味がわかりませんね。
他意もなにも、言ってることがすべてなのに。
クレバーな大統領が、どのように、この失態を乗りきるのか、すべてをジョークにして煙に巻くことができるのか、しばらく動向をみ