やや落ち目だった、ケビン・コスナーが心持ち復活した作品。
内容は、われわれ日本人にはたった一言で足りる。
「米国版海猿」。
時の流れは残酷だ。
特に、その容姿で世をつかんだ者には。
かつて「ボディーガード」で、世の妙齢のご婦人の魂をわしづかみにした二枚目も、すっかり顔に皺がきざまれ髪はうすくなり、中年になった。
まこと月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也……
といった感慨は脇に置いて、ちょっと面白かったのは、米国であっても、海軍と海難救助隊には溝があり、レスキューが低く見られているのがわかることだ。
海猿、その他で、ご存じの方も多いと思うが、日本でも海上自衛隊と海上保安庁は仲がよろしくない。
その大きな理由が、ふたつの海猿集団が、成立母体がまったく異なる別なイキモノといって良い組織だからだ。
現在の日本海軍である海上自衛隊は、警察予備隊から生まれた警察の姻戚であるのに対し、海上保安庁は日本海軍の血を色濃く引いた組織なのだ。
一見すると、逆に見えるのが面白い。
二つの組織のつばぜり合いを示す好例が、両組織に同じ名前の艦が多数存在することだ。
まあ、ガキっぽいといえばガキっぽい話ではある。