リトル・バスタード
梗概:あらすじ
ストラは、60年代ニューヨーク・マンハッタンに住む探偵だ。
時ならぬ地震にゆれるマンハッタン(地盤の固いマンハッタンに、本来地震はないはずなのだ)、その彼をイシュカと名のる娘が訪ねてきて、兄バクスターを探して欲しいと頼む。
金のために仕事を引き受けたストラを友人の警官ワムスが訪ねてくる。
彼は、息子をなくしてなげやりになっているストラを案じているのだ。
イシュカを送りがてら、外に出た三人を正体不明の男たちが襲った。
それは、日本からやってきたサムライとニンジャだった。
その首領らしきサムライは奇妙な術を使う。
だが、ストラも同様の力で、その攻撃を跳ね返す。
驚くワムス。
だが、娘も似たような技をつかうことができるのだった。
かろうじて、サムライたちを撃退したストラに向かって、イシュカがついてくるようにいう。
彼女について古い郵便局の扉をくぐった男たちを待っていたのは、1980年代のロンドンだった。
イシュカは、江戸時代の日本と1980年代ロンドン、1960年代ニューヨークが同時に奇怪な力の浸食を受けて破滅に向かっているといった。マンハッタンに地震が多発しているのは、その地下数キロを怪物が侵食しているからなのだと。
やがて、三つの世界を守るため、三人はサムライの国、日本に向かうことになる。
横書きだと読みにくいので、今回、PDF形式に変更して再アップしました。
作者名は、作詞とSF関係を書く時のペンネーム晩 蔵仁になっています。
リトル・バスタードPDF(653k)
この小説は、十数年前に書いた作品です。
酔いどれ探偵・イン・江戸時代、それにコンピュータを絡めた話にしたかったのです。
ですから、分類するとSFということになるのでしょうが、部分的には、時代物であったり、ハードボイルド?であったりします。
よろしかったらお読みください。
今、読み返すと、この作品は、最近書いた「スカイ・クロラ」で言及しているループ的な内容も持っているようです。
あと、どこかで書きましたが、所詮プロットは人間の考えること。
特に科学技術を使ったアイデアは、皆似通ってくるものです。
今、読み返すと、その後の映画やアニメ、マトリックスやオープン・ユア・アイズ(バニラスカイ)など、似たような発想を使った作品もでてきていますね。
二つの世界を「作り手」と「作られたもの」にして、それを行き来させるという離れワザを見せた「ループ」もありました。個人的には、大ヒットした「リング」「らせん」よりも、それに続く「ループ」が一番好きで、また残念でもあります。良質のホラーを説明するためにSFにしてしまったから。
いずれにせよ、時間的にみると「リトル・バスタード」の方が少しだけ先に書かれています。
随分前のものですので、今とは文体も違っていますが個人的には好きな内容です。
ミステリという縛りなしで書いた作品なので、伸び伸びと、多少ジュブナイルっぽく楽しんで書いた記憶があります。
登場人物の名前も少しシャレが入っていますしね。
このブログでは、漢字を多用する、いわゆる黒っぽい文章、一文が長いセンテンスになるように心がけていますが(その方が書いていて気持ちが良いので)、小説の時は、なるべく平仮名、単文になるように意識しています。
そういった文体の違いも(あまり分からないかもしれませんが)、楽しんでいただけたら幸いです。
最後に、「リトル・バスタード」とは、ジェームス・ディーンが死ぬときに乗っていた、ポルシェ・550スパイダーに書かれていた文字のことです。