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りりん (推理時代小説) PDF

りりん (紅蓮改め)

梗概:あらすじ

 天保年間の江戸、辰蔵は腕利きの岡っ引きで、仲間からも一目置かれている。

 ある日、辰蔵は、浪人矢野新重郎と知り合う。
 彼の家を訪ねた辰蔵は、出迎えた新重郎の妻、美しいゆきに心ひかれるのだった。

 数日後、大工の息子、与一が誘拐され、再び辰蔵は新重郎と会った。

 与一は新重郎の寺子屋で読み書きを教わっていたのだ。

 翌日、与一は死体となって見つかる。

 下手人を捜すうち、辰蔵は新重郎の意外な噂を聞きつけた。

 今は、風呂付きの下駄屋の離れを借りて暮らしているが、かつて長屋住まいの時、ゆきを大切に思うあまり、夏も冬も彼女を湯屋(風呂屋)に行かせず、行水をさせていたというのだ。

 新重郎の怪しげな行動は続き、ついに下手人も見つからないうちに、ゆきと二人で江戸を出ようとするのだった。
りりんPDF(436k)

 先の二作が比較的好評だったので、調子にのってもう一作アップさせていただきました。
 この作品は、もともと「紅蓮」というタイトルだったのですが、今回は、最初に思いついたタイトル「りりん」に改題してあります。

 お楽しみいただければ幸いです。

燃ゆる城 (推理時代小説)PDF

これは、リトル・バスタードから十年以上たって、二年ほど前に書いた作品です。

 ミステリの体裁はとっていますが時代物です(タイトルからわかりますね)。

梗概:あらすじ

 将軍家光の時代。

 坂城慎之介は小藩である中山藩の武士だ。禄は少ないが剣の腕は立つ。

 彼には、剣術仲間である野崎瑞賢(のざきずいけん)がいた。

 瑞賢は医者で城主の腹違いの弟だ。

 名君と謳われた城主は、数年前に原因不明の火事で死に、今は、十歳の幼君勝治(かつはる)が藩をおさめている。

 医学の勉強のために国際都市堺(当時は長崎よりもその気風を残していた)に長く滞在し、日本中を旅して回っていた瑞賢が久しぶりに慎之介を訪ねてきた。

 旧交をあたためる二人。

 だが、瑞賢が話し始めたのは藩内に流れる奇怪なうわさ話だった。

 前城主が死ぬ前に、途方もない武器をどこかに隠しているというのだ。

 おりしも、隣国川村藩からは嫌がらせまがいの領土侵犯がくりかえされ、領民や藩士の不満が高まっていた。

 半信半疑ながら、慎之介と瑞賢は「謎の武器」を探し始める。

 だが、やがて真実にたどり着いた二人を待っていたのは恐ろしい事実だった。

燃ゆる城PDF(464k)

 貧乏な藩を治める名君が陥った悲劇。
 短い話なので、ぜひお楽しみください。

リトル・バスタード (SF小説)PDF

リトル・バスタード

梗概:あらすじ
 ストラは、60年代ニューヨーク・マンハッタンに住む探偵だ。
 時ならぬ地震にゆれるマンハッタン(地盤の固いマンハッタンに、本来地震はないはずなのだ)、その彼をイシュカと名のる娘が訪ねてきて、兄バクスターを探して欲しいと頼む。

 金のために仕事を引き受けたストラを友人の警官ワムスが訪ねてくる。
 彼は、息子をなくしてなげやりになっているストラを案じているのだ。

 イシュカを送りがてら、外に出た三人を正体不明の男たちが襲った。
 それは、日本からやってきたサムライとニンジャだった。

 その首領らしきサムライは奇妙な術を使う。
 だが、ストラも同様の力で、その攻撃を跳ね返す。
 驚くワムス。

 だが、娘も似たような技をつかうことができるのだった。
 かろうじて、サムライたちを撃退したストラに向かって、イシュカがついてくるようにいう。
 彼女について古い郵便局の扉をくぐった男たちを待っていたのは、1980年代のロンドンだった。

 イシュカは、江戸時代の日本と1980年代ロンドン、1960年代ニューヨークが同時に奇怪な力の浸食を受けて破滅に向かっているといった。マンハッタンに地震が多発しているのは、その地下数キロを怪物が侵食しているからなのだと。

 やがて、三つの世界を守るため、三人はサムライの国、日本に向かうことになる。

 横書きだと読みにくいので、今回、PDF形式に変更して再アップしました。
 作者名は、作詞とSF関係を書く時のペンネーム晩 蔵仁になっています。 

リトル・バスタードPDF(653k)

 この小説は、十数年前に書いた作品です。

 酔いどれ探偵・イン・江戸時代、それにコンピュータを絡めた話にしたかったのです。

 ですから、分類するとSFということになるのでしょうが、部分的には、時代物であったり、ハードボイルド?であったりします。

 よろしかったらお読みください。

 今、読み返すと、この作品は、最近書いた「スカイ・クロラ」で言及しているループ的な内容も持っているようです。

 あと、どこかで書きましたが、所詮プロットは人間の考えること。

 特に科学技術を使ったアイデアは、皆似通ってくるものです。

 今、読み返すと、その後の映画やアニメ、マトリックスやオープン・ユア・アイズ(バニラスカイ)など、似たような発想を使った作品もでてきていますね。

 二つの世界を「作り手」と「作られたもの」にして、それを行き来させるという離れワザを見せた「ループ」もありました。個人的には、大ヒットした「リング」「らせん」よりも、それに続く「ループ」が一番好きで、また残念でもあります。良質のホラーを説明するためにSFにしてしまったから。

 いずれにせよ、時間的にみると「リトル・バスタード」の方が少しだけ先に書かれています。

 随分前のものですので、今とは文体も違っていますが個人的には好きな内容です。

 ミステリという縛りなしで書いた作品なので、伸び伸びと、多少ジュブナイルっぽく楽しんで書いた記憶があります。

 登場人物の名前も少しシャレが入っていますしね。

 このブログでは、漢字を多用する、いわゆる黒っぽい文章、一文が長いセンテンスになるように心がけていますが(その方が書いていて気持ちが良いので)、小説の時は、なるべく平仮名、単文になるように意識しています。

 そういった文体の違いも(あまり分からないかもしれませんが)、楽しんでいただけたら幸いです。

 最後に、「リトル・バスタード」とは、ジェームス・ディーンが死ぬときに乗っていた、ポルシェ・550スパイダーに書かれていた文字のことです。

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