記事一覧

Division by zero(現代推理)

 少し前に、「時代が追いついた! ~ボット・ネット~」というタイトルで、この小説に触れたところ、何人かの方から、読みたいというメールをいただきましたので探してみましたが、オリジナルは紛失していました。

「Division by zero」をもとに、加筆訂正したものは残っていましたが、かなりオリジナルとは変わっています。

 おもに、コンピュータ技術の進歩にあわせて変更を加えていました。

 お読みになればお分かりでしょうが、ハリウッド映画の引用もオリジナルにはなかったものです。

 それでも、もとの作品の雰囲気は色濃く残っていますし、わたし自身、読み返して、かなり面白く読むことができました。

 今から思うと、少しレトロ(コンピュータ関係が)な作品ですが、お読みになっても損はないのではないか、と勝手に判断し、ここに掲載することにしました。

 自分で書いていながら内容をほとんど忘れて楽しめるなんて、筒井康隆氏(いや、小松左京氏だったかな?)が、長寿世界を描いた作品に自身を登場させ、ボケを自覚して「やった、これで自分の作品を楽しめるぞ」と叫んだ気持ちが分かりますね。

「Division by zero」は、ミステリで、恋愛モノで、ちょっと哀しいお話です。

Division by zero PDF(540k)

 よろしければお読みください。

火輪~かりん~(推理時代小説)

 前年度までの選考でしたら、発想がありきたり、文章がなってない、人間が描けていない、など、なるほどと納得できる評価が、選考作品になされていたのですが、「火輪」については、文章か書ける人である(乃南氏)、人間も描けている(花村氏)と書かれているものの、森村氏の、私はこんな作品は嫌いだね、といった個人的な好悪が全てを押し流した感じをうけました。

 もちろん、今読み返すと、至らない作品ではあります。

 でも、他の作品との甲乙がわからなかったなぁ。

 どこを反省して精進したら良いかもわからなかった。

 まあ、人生はこんなものでしょう。

 興味がおありでしたら、その時の選考のようす(紙面掲載時の)をアップします。

 やはり、同じ「書き手」が選考するのは問題があるような気がしますね。

 何年か前に、「半落ち」「クライマーズ・ハイ」の横山秀夫氏が、直木賞決別宣言をした気持ちが、なんとなくわかります。

 とにかく直木賞をとりたくて、直木三十五の墓の横に墓地を買いつつ、ずっと三流エロ小説を書いていた胡桃沢耕史氏(「翔んでる警視」が有名)が、「黒パン俘虜記」で直木賞を受賞した時、選考委員のA氏は「あんなエロ作家を(自分と同じ)直木賞作家にするくらいなら、おれは委員をおりる」と、席を蹴って立っていったという話も聞こえています。

 それはともかく……

 応募した当時のままの梗概を載せておきます。

梗概:あらすじ

  秋も深まった江戸、大川の河岸で娘、お芳の死体が見つかり、神田長兵衛長屋、通称からくり長屋に住む岡っ引き源七が捜査に乗り出した。

 やがて、お芳は仏具の大店、京津屋の娘で、父親が火事から家を守ることで有名になった火除菩薩(ひよけぼさつ)の仏師であったが、五年前に行方知れずとなっている総五郎であることが知れた。

 その頃、江戸市中には、付け火をして騒ぎを起こしてから、別の場所に押し込みに入る、蟷螂(かまきり)の居造を首領とする盗賊が跋扈していた。

 やがて、

 あ、これはいけません。

 当時、梗概は、ミステリのネタバレまで含めて全部書け、と言われていたので、簡単に最後まで説明してしまっています。

 ですから、梗概はここまでにしておきます。

 興味のある方は、本編を以下からダウンロードしてください。

火輪PDF(508k)

 ちなみに、「からくり源七」には続編「魔毒」もあります。

機械仕掛けの夢(現代推理)

 ここに初めてアップする、現代を舞台にした推理小説です。

 これは比較的新しく、一昨年に書いたもので、タイトルは「機械仕掛けの夢」です。

 もともとのタイトルは、ラテン語で「SOMNIUM EX MACHINA.」でした。

 ギリシア劇で、主人公たちが困ったときに表れる機械の神「DEUS EX MACHINA.」(でうすえくすまきな)をもじったものです。

 当時、興味のあった大脳生理学と麻薬をモチーフに書きました(といっても、ほとんど専門知識を使っていませんが)。

 コムツカシイ話ではありません。

 というか、わたしは、基本的に人情エンターティンメント(なんて分類あるのかな)しか書けないのです。

 アクション?もありますし、短い話なので読みやすいと思います。

 とりあえず、梗概(あらすじ)は、書かないでおきます。

 個人的に、「警察」という機構があまり好きではないので、わたしの現代推理には、ほとんど警察官が主人公のものはありません。

 だって、警察官を主人公にしたら、犯人←→警察のステレオタイプの図式になりすぎて、センス・オブ・ワンダーがなくなってしまうじゃないですか。

 たとえ、天才物理学者を刑事の友だちにしても、やはり構図は変わらない。

 と、書きながら、考えてみると、時代物は同心・岡っ引きを主役にして書いていますね。
 うーん、なぜだろう。

 今回、主人公は19才の女性です。彼女が陥った現代社会の陥穽(オトシアナ)と、そこから始まるミステリ、よろしかったら、お読みください。

 お待ちになっていただいた皆さん。お待たせしました(もし、居られたなら、ですが)。

 機械仕掛けの夢 PDF(466k)

ページ移動